2019/10/24
第三の手
Q.建設大手のH社は、現場での作業効率推進のためパワーアシストスーツ(ロボットスーツ)を導入しています。今年から、それとは別に第三の手ともいえるロボットアームを開発導入することに決めました。それは、人間の身体から突き出た三番目の腕の形状をしています。究極的に言えば、人間のサイボーグ化とも言えるかもしれません。第三の手(腕)は、建物の天井を貼る作業の時等、天井板を支えてくれる働きをします。人間は、ロボットアームの支えがある間、両手で作業ができることになります。そして、第三の手は非常に有益な製品であるため、H社は輸出も考えています。
A.人間の第三の手とも言えるロボットアームは、アシストスーツの一種であり、ロボットの中でもアームのみの輸出となります。今回の輸出では、使用用途が建設関連として限定されていることから、輸出先の顧客に武器関連等での問題がなければ、比較的輸出は楽にできると思います。ただし、製品の素材が外為法関連法規に該当している場合や使用用途・輸出先の顧客等に問題がある場合は、輸出が非常に困難になります。
なお、パワーアシストスーツ(ロボットスーツ)自体は、外為法関連法規上、操縦ロボットに分類されるため基本的に非該当となります。しかし、先に述べたように案件によってはキャッチオール規制の対象となる場合がありますのでご注意ください。
関連法規等
・輸出貿易管理令別表第1 2項(15)、6項(7)、12項(5)、14項(7)、16項
・外国為替令別表 2項(1)、6項(1)(2)、12項(1)(2)、14項、16項
・輸出貿易管理令の運用について 輸出注意事項62第11号・62貿局第322号 昭和62年11月6日 貿易局 1‐1(7)(イ)
用語の解釈
輸出貿易管理令の運用について 輸出注意事項62第11号・62貿局第322号 昭和62年11月6日 貿易局 1‐1(7)(イ)
・操縦ロボットの定義:マニピュレーション機構であって、手動又は遠隔操作によってのみ制御可能なものをいう。
・シーケンスロボットの定義:次のいずれかに該当するものをいう。
イ 固定シーケンスマニピュレーション機構であって、機械的に固定されたプログラム運動に従って動作する自動運動装置
ロ 機械的に制御される可変シーケンスマニピュレーション機構であって、機械的に固定されたプログラム運動に従って動作する自動運動装置
ハ 非サーボ制御の可変シーケンスマニピュレーション機構であって、機械的に固定されたプログラム運動に従って動作する自動運動装置
参考文献
東 将大「着るだけでサイボーグになれるアシストスーツ、仕事や生活を大きく変える」日経XTECH 2019年5月16日