2018/11/11

 

エンジニアの海外転勤
 
Q.重工業メーカーに勤務するエンジニアのGさんは、今日付けでF国の海外子会社へ転勤する辞令を受けました。今まで駐在の経験もまったくありませんが、外為法関連で注意することはありませんか。
 
A.外為法関連法規では、日本で在住する人と海外で在住する人を区別しています。概観すると、 日本に在住する人を「居住者」、海外で在住する人を「非居住者」と言います。これは日本人と外国人で区別されていません。したがって、Gさんの場合のように、海外子会社で長期間雇用されることになれば、日本人であっても一律に「非居住者」扱いとなります。そして、「居住者」「非居住者」にかかわらず外国に居る「居住者」「非居住者」に外為法関連法規で該当する技術を提供する場合、規制対象となります。日本に居る人が、技術を外国に居る「非居住者」であるGさんに提供する場合、役務取引許可申請が必要となる場合があります。また、Gさんが技術を駐在先に持ち出す場合も役務取引許可申請が必要になることがあります。違反した場合は、罰則を受けますのでご注意ください。
ところで、外為法関連法規では、海外に転勤する人の場合、海外への持ち出しや別送について特例措置が設けられています。永住の目的を持って出国する人については、携帯品・職業用具・引越荷物の持ち出しや別送が許可されます。詳細は、下記の「輸出貿易管理令別表第6関連による特例措置の概要」をご覧ください。この定義に当てはまる範囲の荷物については、自由に持ち出しや別送することが可能です。転勤する際、持って行きたい資料や物等も多くあると思いますが、以上のような事項にご注意頂き、持ち出しや別送を行うようにしてください。

なお、携帯品・職業用具・引越荷物に該当するか否か判断ができない微妙な場合は、会社を通じて経済産業省安全保障貿易管理関連の問い合わせ窓口へご相談ください。

 

関係法令等

・輸出貿易管理令別表第6 別表第6の備考1-3 政令第378号 昭和24年12月1日

・外国為替法令の解釈及び運用について 蔵国第4672号 昭和55年11月29日 居住性の判定基準
・外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について 4貿局第492号 平成4年12月21日 貿易局

輸出貿易管理令別表第6関連による特例措置の概要
【海外へ持ち出し、別送が許可されるもの】

別表第6(第4条関係)
・海外出張等、仕事の場合:携帯品・職業用具
・海外転勤等、永住の場合:携帯品・職業用具・引越荷物
 

備考
1 「携帯品」とは、手荷物、衣類、書籍、化粧用品、身辺装飾用品その他本人の私用に供することを目的とし、かつ、必要と認められる貨物をいう。
2 「職業用具」とは、本人の職業の用に供することを目的とし、かつ、必要と認められる貨物をいう。
3 「引越荷物」とは、本人及びその家族が住居を設定し維持するために供することを目的とし、かつ、必要と認められる貨物をいう。

 

注:2012年11月8日版を改訂