小さな主張

輸出管理における現場の実務課題について

 

外為法の改正は企業・組織あるいは個人に対する輸出・役務提供という経済活動の変化を促す要素である。改正内容に伴いこれらの経済活動を行う人々の規制枠も変化するため立法機関が考えているより、多大な影響を被ることが実情である。企業の抱える外為法改正都度の問題等に触れてみたいと思う。

 

 各企業によって実務上の課題はさまざまであると考えられるが、輸出管理における実務上の課題についていくつか述べたいと思う。

 まず外為法上の規制に対する個々の貨物・技術においての該非判定は、各企業に委ねられている。各企業は自己の抱える製品・部品ごとに該非判定を行い、それをデータベース化する。また即座に文書化できるようなシステム化も行っている。基本的に製品等の該非判定は開発者・技術者が行い輸出管理部門に伝達することとなっている。開発者・技術者は外為法の規制を理解した上で判定を行うが、個人ごとに理解度・判定基準が微妙に異なることとなりやすい。また開発業務が忙しく時間の少ない開発者・技術者が、その合間に製品等の該非判定を行いチェック項目を完璧にこなすには規制値に対する製品の実測テスト、証明資料等を用意する必要があり、なかなか大変であるというのも現状である。正規分布上における多数の製品の精度・測定の誤差など考慮に入れるべき点も多く、製品輸出の時間との戦いとなっている部分も大きい。輸出が遅れると他国の競合相手に敗れる可能性も高くなるため、該非判定をすばやく行える体制を整えることは重要である。

 各社ごとに異なる輸出管理のあり方も該非判定において大きな差異をもたらす結果を招いている。輸出機関等で指導されているとはいえ、該非判定の裁量化が各社ごとに生ずることは事実である。輸出管理責任者の判断によって該非判定のレベルが定められる場合もある。例えば、まったく非該当の製品とおぼしきものに対して輸出管理責任者が開発者・技術者へ該非判定を依頼した場合、結果的に少々緩やかな判定を導き出すこともありうる。また逆の場合もあり、該当すれすれの製品に対してどのようなレベルの判定を行うかは最も危惧するところとなる。リスク回避をするため最も精度の高い値を採用する企業もある。それに対して輸出を円滑に行うため、平均に近い値を提示する企業もあると思われる。同じような製品であっても該当か非該当かは各社の輸出管理責任者に委ねられており、裁量の部分が大きいのではないかとするのはこれらの理由からである。

 次に法律の施行と改正ごとに発生する莫大な仕事量・緻密で時間を要する作業等であるが、具体的には企業製品・部品の該非判定データベースの作成及び改定があげられる。輸出書類をすばやく作成するため、製品・部品番号の入った該非判定データベースを持っている企業も多いと思われる。主に自社製品に関連する輸出令別表第1・外為令別表等の項目の見直しをデータ上に反映させる作業は、関連する条項があった場合、小さな改正であってもかなりの時間と手間を要することとなる。まして大規模な政令改正が行われた場合、たとえ施行日まで期間があった場合においても、日々の輸出関連書類(1)作成等をぬって行うその入念な作業のため、休日出勤・残業等を行ったとしても結果的にぎりぎりになってしまうこともある。そして間違えた場合、外為法違反を問われマスコミ等にさらされる可能性が大きいため神経をすり減らす作業内容とならざるを得ない。したがって各企業においては輸出機関に提出した既存データに対する該非判定結果の反映を、一括して省庁あるいは輸出機関等において改定できないかという思いも持っているのではないだろうか。

 ところで該非判定を行う際、微妙な場合等は経済産業省に相談に行くことと定められている(2)が、相談を受けた結果について確信を得ないまま輸出を行うことになってしまった場合、最悪には外為法違反を問われる結果となる場合がある。自己解釈の結果、都合しだいの判断で企業利益の秤が重くはたらき、輸出管理責任者が判断を狂わせてしまうこともありうる。過去にこのような事態を招いたことがなきにしもあらずと言える。また実際、輸出管理担当者は顧客や自社営業部門と省庁の判断結果に挟まれることも多々ある。このような場合、別製品に代えるなど代替案に苦労することもあるといえる。

 

多方面においての技術の断片が、ひとつの大量破壊兵器・通常兵器を生み出す原動力となる場合もある。我々の輸出に関する不断の注意は、兵器拡散を防ぐ手だてとなるといってよいだろう。また輸出管理業務は、冷戦時代を経ても生き残り、さらに新しいゾーンへと入る兆候を見せている。「非核三原則」「武器輸出三原則」の見直しが軍需産業路線へと進むトリガーとならないように祈るばかりである。

「非核三原則」「武器輸出三原則」については政府・国会内また米国等との検討会等において今後進められると思われるが、進展の具合によっては外為法に関連する多くの条項が影響を受けることとなる。前回の改正とは、まったく違う改正内容により、日本企業の輸出や技術提供に受ける影響が懸念される。

 

 

参考文献

(1)日本機械輸出組合『安全保障貿易管理関連貨物・技術リスト及び関係法令集〔改訂第16版〕』日本機械輸出組合 平成22(2010)7月 P404-411 輸出貿易管理規則

(2)日本機械輸出組合『安全保障貿易管理関連貨物・技術リスト及び関係法令集〔改訂第16版〕』日本機械輸出組合 平成22(2010)7月 P753-766 特定貨物の輸出・役務取引・特定記録媒体等輸出等の許可申請に係る事前相談及び一般相談について(お知らせ)平成6325日 貿易局安全保障貿易管理課 最終改正 輸出注意事項2211号・平成220210 貿局第5号 平成22224日 経済産業省貿易経済協力局

P767-770 大量破壊兵器関連設計・製造技術の提供に伴う相談の書式について(お知らせ)平成6317日 貿易局安全保障貿易管理課 最終改正 輸出注意事項2211号・平成220210 貿局第5号 平成22224日 経済産業省貿易経済協力局

 

 

 

 

 

技術流出の実態

 

 日本の産業により育まれた技術は、海を越え海外で使われることも多い。正当な経済活動の一環として使用される場合はともかく、過去、日本の技術が不正に流出したこともあった。

 例えば20009月、防衛庁防衛研究所の幹部自衛官が「秘」資料のコピーを在日ロシア大使館の駐在武官に渡したとして自衛隊法違反容疑で逮捕されている。機密文書を扱える立場にあり、地位も高い人物の犯行であり、親密な交友関係を利用した事件であったといえる。

 防衛庁に限らず一般企業の研究所であっても、このような事件が起こる可能性は高い。特に企業同士の交流が同業・異業種とも盛んな現在では、ふとした瞬間に事件に発展する可能性がなきにしもあらずといえる。また仲介する貿易業者についても同様なケースに陥る可能性がある。これらの場合においては日常化した公知資料の提供が、いつしか公知資料以外の「秘」資料に置き換わってゆくということが考えられる。これは人間の心理面を巧みに利用したものである。

 加えて外国人による技術情報の持ち出しも確認されている。日本企業に勤務する外国人・日本の大学に留学している学生が日本の最先端技術・軍事技術等を本国へ持ち帰り、また本国へ横流ししていたケースも発覚している。これについては証拠隠滅・出頭せずに日本から出国・証拠不十分等で起訴猶予処分になっているケースがみられる。せっかくの国際化・国際交流が残念な結果となってしまった事件である。

 外為法違反については貨物の不正輸出が目立つが、技術流出についても水面下で起きており、十分な注意が必要であるといえる。不正な技術流出については、かなり時間が経過したのち表面化する場合もあるのではないかと思われる。場合によっては貨物の場合より深刻な状況になる可能性もあり、不断の注意が必要である。


参考文献:朝日新聞「海自幹部、機密漏えい容疑」朝日新聞社 1面・39面 平成1298
     朝日新聞「スパイ容疑 海自幹部逮捕」朝日新聞社 夕刊1面・18面・19面 平成1298
     朝日新聞「防衛庁幹部の名簿提供」朝日新聞社 1面・3面・35面 平成1299
     朝日新聞「ロシア大佐が出国」朝日新聞社 夕刊1面 平成1299
     朝日新聞「ロ大佐、書類送検も」朝日新聞社 1面・39面 平成12910日 等

 

 

 

 

アルカイダへの外為法(外国貿易法)輸出規制

 

ビン・ラディンがアメリカに殺害されてから、その後の事実について取沙汰されている。水葬にしたというアメリカの発表は、写真・画像等の証拠が公開されないことにより、まだ生きているのではないかという事さえ推測されている向きもある。神格化・英雄化されないための措置だと言われているが、このことに対する報復措置は、まだまだ続くと思われている。

 さて、日本の外為法(外国貿易法)は、現在の輸出規制相手を国家のみではなく組織・個人にまで広げている。テロリスト等に対する輸出規制は、そのまま兵器供給をストップすることにつながっているのである。

 外為法関連法規においては「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令第二号及び第三号の規定により経済産業大臣が告示で定める輸出者が入手した文書等(経済産業省告示第760号)」第二号に規定する「輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)第4条第1項第三号イ及び第四号イに規定する核兵器等の開発等の動向に関し、経済産業省が作成した文書等」に該当するリストが存在する。名称が長いのだが、平たく言うと輸出関連のブラック・リストである。外国企業・組織等が記載されているが、この中にはアフガニスタンのテロ組織、アルカイダ(Al Qaida/Islamic Army)も長年、含まれていた。概念区分としては「化学」という分類が当てはめられている。このブラック・リストに記載された場合、用途、取引の態様・条件等からみて、大量破壊兵器等の開発などに用いられないことが明らかなときを除き、経済産業大臣の許可が必要とされている。一般的にはなかなか輸出が許されない相手先と考えられる。これから先、報復戦が行われる様相が続く場合、新規参入の組織もブラック・リストに加えられることとなるだろう。日本がテロ事件の現場にならないという保証はない。厳重な注意が必要であろう。

 

 

 

 

 

武器輸出三原則と武器

 

「武器輸出三原則」については近頃取沙汰されているが、そもそも「武器輸出について」の政府方針であって、外国為替及び外国貿易法(外為法)のような法律ではなく、もちろん法律より下位にあたる政省令・告示・通達ではない。「武器輸出三原則」は森本正崇氏の位置づけとしては外為法→輸出貿易管理令・外国為替令→武器輸出三原則という並びになっている。(森本正崇『武器輸出三原則』p.91参照)森本氏は「武器輸出三原則は上位規範である外為法、輸出貿易管理令・外国為替令の運用方針として利用されるものである。」としている。ところが国会等での討論では、あたかも外為法抜きで武器輸出三原則が大幅にクローズアップされた状態にある。イメージとしては限りなく大きな存在である。

 そもそも武器の輸出については外為法(正確には輸出貿易管理令・外国為替令)で定められた品目の輸出についてそれぞれの案件ごとに輸出の可否を判断するということが重要事項として挙げられるが、武器輸出三原則が始めに来てしまうと品目云々・輸出案件云々より、武器を輸出するということ自体が是か否かということに焦点が合ってしまうようである。先ほどの「武器輸出三原則」の位置づけとしては武器輸出三原則→外為法→輸出貿易管理令・外国為替令と言う様なイメージ、若しくは武器輸出三原則・外為法(→輸出貿易管理令・外国為替令)などと言う様なイメージとなってしまうような気がする。
まず全体の位置づけを理解してから議論する方向に持って行くべきであり、イメージのみで議論すると理論的に展開することはできない。論者は位置づけを再確認して頂きたいと思う。

 次に「武器」についてであるが、現在は地雷探知機のような武器を察知し殺戮を防ぐようなものは外為法上は「武器」として扱われていない。けれども、これは非攻撃的武器である。同じような位置づけとしては防弾チョッキ・ヘルメット(鉄兜)等もあげられる。確かに地雷探知機を使い紛争地域の片側の地域の地雷をすべて除去してしまうと他の片側の地域としては攻撃を受けやすい状況に転じてしまう。平和目的で地雷除去のために使用する地雷探知機を使い方しだいで武器という解釈に変えてしまうことができるといえる。(森本正崇『武器輸出三原則』p.350360参照)

 武器の範囲ということについて外為法(正確には輸出貿易管理令・外国為替令)は、詳しく規定している。純粋の武器という意味では外為法の範囲としては狭いが、軍民両用の汎用品については規定範囲が大変広い。どこまでが武器なのかどこからが武器ではないのかということについて定めることは些か難しいと言わざるを得ないが、先に示されたように使い方しだいで武器という解釈に変えてしまうことができるというのが本筋であるようだ。

 日本は平和国家であるため武器についての解釈や扱いは特に厳しく、輸出についても禁止前提で運用されてきた。これから開発されるものも含め、外為法で規定されていない非攻撃的武器については使用目的や使用地域を選んで輸出されることには賛成したいと思う。ただ使用目的や使用地域によっては、武器と言う分類でなくとも、これからも輸出されないということがあっても仕方ないのではないだろうか。

 

 

 

 

 

クラウドコンピューティング 国境を越える技術

 

新しい情報技術の使用方法として、クラウドコンピューティングを使用している企業が増えている。情報資源を合理的にうまく活用する手段だといえる。

 この情報資源については日本企業の技術に海外企業がアクセスするケースもあり、各企業の技術に対する管理の厳格化が求められることと思う。情報源に含まれる外為法令にみられる該当技術を保護する目的でのアクセス権の確認(アクセス端末の確認)は重要な事項である。必ずしも固定された一定の端末のみがアクセスするのではなく、複数の端末が断続的にランダムに情報源にアクセスすることを考えると、企業端末のなりすましを含めアクセス元に注意する必要が生じている。

 海外からのアクセスについては、まず第一段階として情報源を外為法規制以外の非該当技術内容のみとする必要があり、第二段階として該当技術の提供については経済産業省への申請も含め対応後に許可された企業(の端末)へのみアクセスする権利を与える必要がでてくる。このような開かれた提供形態としては、クラウドコンピューティング提携企業同士のネットワークのみではなく、行政機関等を含めたネットワーク連携のあり方が必要となってくるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

テロの兆し

 

ココムの終焉で終わるかと思われた安全保障貿易管理は、現在も続いている。国に対する規制よりテロ組織に対する規制に関して、目だって敏感になっている時代となった。9.11以降、米国ではテロ等に関する動きに特に鋭敏になっているが、日本でも過去の事件に即して水面下で対策が色々練られていると思われる。
 地下鉄サリン事件は時々マスコミで話題になっている事件だが、これ以前の兆しとして松本サリン事件があったことは現在も記憶されている。この事件が「兆し」であったことを米国の専門家が指摘していたことを知った。日本の学術研究者が知りうることができなかった兆しをこの専門家は見事に言い当てたと言う。長年の分析経験の他、直感のようなものも働いていたのかもしれないと思う。
 日本のマスコミは、これらの事件や福島第一原発事故についてのTVでのコメンテーターをどのような基準で決めているのだろうか。松本サリン事件については、机上で研究をされている学者だったそうだ。また原発事故では、現場を知らない東電関係者や科学風のコメントをする人々もTVの報道画面に混じって発言されていた気がする。本当の専門家を招集することが一番の事件や事故の解決方法であるはずである。コメントの中に沢山のヒントが隠されている。
 テロに対する兆しを見つけることは簡単ではないが、小さな兆しが起きる流れをつかむことができる人は何人もいるのではないだろうか。小さな兆し、それは分析結果だったり、日常の風景だったり、マスコミの報道の断片だったりするのだと思う。そして安全保障貿易管理で規制されているテロに対する対策も、特別なものではないはずだ。荷物の送り状や契約書、海外企業の会社案内の中に、小さな異変がひょっとすると見つかるかもしれないのである。

 

 

 

 

 

外国貿易法-複雑な法律

 

 外国為替及び外国貿易法(外為法)は、複雑なことで知られている。他の法律とは異なり、省令・政令・告示・通達等が複雑に存在し、非常に分かりにくいことで有名である。さながら、多くの点在する建造物を繋ぐ廻廊のような場所を歩いているイメージである。ひとつの条文等を押さえても、他にある関係法令を押さえなければ全てを把握することとはならない。
この関係法令も次々と改正されるため、常に法律書を新しい状態にしておく必要がある。最新の速報に目を向け、耳を傾ける態度も重要になってくる。このようなことからも、時間に鋭敏な姿勢や反射神経が必要な法律かもしれない。
空間軸と時間軸の交わりのような特異な法律、それが外国為替及び外国貿易法(外為法)だと思う。
  

 

 

 

 

ロボット兵士の戦争

 

著者のPW・シンガーと言う人は無類の映画ファンのようだ。本書には非常に多くの映画と映画の主人公が登場する。彼はSFファンであり、あの「スターウォーズ」もこよなく愛する人物であるようだ。またこの他の映画についても来るべきロボット戦争の兆しとして鑑賞しているように思われる。またこれが次の軍備についてのプランのアイデアともなっているようである。
 そもそも現代の戦争はベトナム戦争時の戦い方ではなく、ゲームプレーヤーがロボットを操作するような戦争へと米国でも変化している。すなわち卓越したパイロットが戦闘機を操縦するのではなく、戦場の遥か彼方から遠隔操作で無人航空機を操縦し偵察したり攻撃したりする方法へと切り替わりつつあるのだ。現在、優秀な飛行機乗りとゲームプレーヤーの若者の2とおりの人種が航空機を操っている。
 この無人機を遠隔操作で操縦するということは現実世界で起こっている戦争ではなく、あたかも別世界で起きている戦争に参加しているような錯覚さえ覚えるようである。空間の隔たりは日常生活にも影響を及ぼし、遠隔操作で爆撃した後、子供のPTAに参加するという以前では考えられないようなことも可能となっている。また機械ゆえに誤作動が起き(バグが発生し)、結果として不幸な誤爆が起きることさえある。そして無人航空機が民間人を爆撃したり、地上走行の攻撃用軍事ロボットが味方を敵と誤って撃ったり、故障を直すために走った味方の軍人を射殺したりする事件も起きているそうである。
 ところでテロ対策としての監視システムでは「交通渋滞を監視するカメラやATMの防犯カメラ、地下鉄の駅構内を監視する専用カメラまで」何百万台を超える公共の場のカメラで出来ている監視ネットワークが役立つと述べられている。これにAI(人工知能)を組み合わせデータベース上のテロリストの顔を判別し即座に捕らえる、このようなプログラムの実現が人込みの中でのテロを防ぐ糸口となるとシンガーは考えている。またテロ攻撃を予測するために膨大なデータを収集し機械の頭脳で解析することで未然に防ぐことが可能になるということに専門家も期待している。
 国際人道法では民間人と軍事的な標的を区別できない兵器の使用を禁じている。先の例のように無人航空機のみではなく地上を走行する攻撃用軍事ロボット等、軍事用途の遠隔操作ロボットは、民間人と軍事的な標的を正確に区別することはできない。少し前の時代の戦争と様相を異にする現代の戦争では、法的秩序が守られず混沌とした状況となってしまった。このような乖離から法的な見直しについての論議はもちろん、人にとって万全な法を実現するために多くの検討が必要となっている。各国法と照らし合わせると、さらに複雑化し、ある国で合法とされる事柄は別の国では違法であり戦争犯罪となる。宣戦布告の口実を与える場合も出てくるのではないだろうか。悲劇が起こってから法を制定するというのではなく、今、想定される範囲内において法制化する急務があると思う。ただし技術の進歩は我々の想定を超えているのだ。
 
2011年